| 1.建物(住宅を含む)の維持管理で生じたトラブル |
@大手塗装会社のセ−ルスマンの口車
この被害者は数多くいます。私の事務所にも営業にきましたから、「軒並み訪問」が この会社のセ−ルスマン・マニュアルなのでしょう。
外装の塗り替えを勧めるのが彼らの仕事です。彼らはまずその家に上がり込むことを 第一関門と承知しているようです。従って、いったん上がり込んでしまえば、「しめ たモノ」となります。余り建物の大小には関係なく、はじめに400万円前後の見積もり金額を言います。それなりに時間がたちます。頃合いを見計らって「今日、この場で契約してくれれば200万円で結構です」と畳み掛けてきます。一般的には「これで一丁上がり」です。契約書に印鑑を押すことによって、契約が成立してしまいます。
この段階では塗料の材質も色も塗る場所も何も決まっていません・・・。お客(工事依頼者)は素人ですから、随分安くしてくれたと思い、得をした気分になってしまいます。契約後、何故、400万円が急に200万円になるのか?と疑問をもっても、後の祭りです。このような段階で当事務所に相談してくる人もありました。そのときの対処につきましては後で述べます。
その塗装会社の仕事の内容を紹介します。
塗装は塗料の品質が重要です。また施工に際しては清掃などを含めた下地処理が大切です。しかし、この会社のすることは全て不合格です。色決めすらしないで、適当にある色を塗るだけです。さらに悪いことには、現状把握とその対処方法を知らない職人が施工するため、相性の悪い溶剤などを使い、剥離や縮みなどの材質変化を引き起こしトラブルを生じさせて、取り返しのつかない大損を与えることもたびたびです。仮にその大手塗装会社を訴えても手遅れでです。何の責任もとらずに「トンズラ」です。「はい、それまでよ」。
契約金額等に不信を抱いて、契約を解除しようとする人に「ク−リングオフ」の制度を教えて、その担当者宛に電話を入れさせます。すると、「その担当者は不在です」、「不在です」を繰り返して応対しません。「ク−リングオフ」が有効なのは契約後1週間以内です。そこで困ってたお客はまた相談に来ます。そこで有効期日内に、「内容証明郵便」を送ることを教えます。
工事前、お金を払う前ならば、これだけの損害で済みます。「めでたし、めでたし」。このような被害に遭わないため、信頼出来る設計事務所に建設後の建物管理(メンテナンス)を頼んでおくと良いでしょう。
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| 2.建物(住宅も含む)を建てる時の注意 |
@大手建設会社だからといって安心できません。
少し規模の大きい工事になると、建築主に建設会社の信用調査をするように進言します。この調査をすることで、ほとんどの被害は防げます。
当事務所が設計監理という立場でかかわった新築工事でも、建設会社(建築施工会社) が工事中に倒産してしまったことがあります。工事中だったので大変困りました。経緯について触れてみましょう。当事務所で受注有力候補の建設会社を予備調査をしたところ、この会社の業績・評判が余り芳しくないので、その旨を建築主に報告し、業者選択を再考するように促しました。しかし、以前からの知り合いで「義理があるから」という理由でその建設会社に施工をお願いすることにしました。
運悪く、当事務所の予備調査の結果が的中してしまい、この建設会社は工事中に倒産してしまいました。さらに悪いことには、当事務所と建築主のあいだには「設計監理契約」が取り交わされていて、その条文の中に、「工事代金の最終支払いは、設計監理者の了承を得た後に支払う」ということになっているにもかかわらず、建設会社に泣きつかれたからといって、既に工事代金を全額支払ってしまっていました。
建築主は未工事分の代金まで支払ってしまったのです。従いまして、当初予定したお金は全て使い果たしてしまい、残りの仕事に対する工事代金の準備は全く無い状態になりました。正に「万事休す」と言う訳です。こんなことにならないよう、設計監理者のアドバイスは素直に受け入れた方が良いと思います。
A「設計施工」は日本的な施工システムですが「危険が一杯」です。
「当社は設計施工だから設計料分だけ安く請負えます」という論法があります。この手で引っかかり、正規の設計料の何倍もの工事費を取られた建築主がおります。
「設計施工」と言っても、建物を建てるときには設計図書が必要だし、その設計は資格を持った建築士でなければ出来ません。しかし、その設計者・建築士が、建築主サイドの人であるか、建設会社サイドの人であるかによって、その存在価値は「天と地」の違いが生じます。
某医療器具関係の会社が、かなり大規模な「本社ビル」を新築した時の話です。設計図も無しに工事請負契約を取り交わしました。全て工事内容は口約束だけです。「設計施工」とは言うものの、当然設計事務所が係わらねばならない規模の建物です。ここで紹介する設計者・建築士というのは、建設会社からの依頼で設計をしたり、建築確認をとったりということを業務にしている建築設計事務所の建築士です。そのため軸足は建設会社にあり、建築主を擁護する立場にはありませんでした。
工事監理もその設計者・建築士は全くかかわらず、ただ単に建設会社に言われるまま、図面を描いただけだったようです。これが後日、大変な問題になりました。建築基準法違反が20項目以上、消防法に抵触する違反項目も多数ありました。
そのため、所管の行政機関から期限を切られて、改善命令が出されました。これが実行されなければ、解体命令を出す、との通知が届きました。この時、既にこの工事を請け負った建設会社は建築主から莫大な追加工事費をせしめた後に、倒産してしまい、存在していませんでした。困り果てた建築主は、建物の改善方法について、建設会社の依頼で設計をしたり、建築確認をとったりした建築設計事務所に相談しましたが、建築主との契約(設計監理契約)がないことを理由に、何の相談にも乗ってくれませんでした。
このような段階で当事務所は、ある弁護士さんから、「何とかしてやってくれ」という要請があり、この仕事にかかわることになりました。改善工事に多大の費用がかかるため、工事を2期に分け、足かけ3年を費やして、全ての違法部分を改善して無事、完了「検査済証」を手にしました。
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| 3.坪単価○○万円の家ってどういうこと? |
よく広告などに坪単価○○万円という売り文句があります。まるでどんな状況・場所・材料でも同じ値段ですぐに家が買える印象があります。
まず、建物はいろいろな材料からできています。材質によっても様々です。例えば柱に例しても、松、桧、杉などがさらに、等級などもあります。また、国産ではなく輸入材だったり、強制乾燥された材料だったりもします。
さらに基礎の造りにもいろいろあります。例えば地盤が固い部分と柔らかい部分に分かれている場合、一部だけ家が沈んでしまうという「不同沈下」と呼ばれている現象が起こります。このような地盤の場合は布基礎ではなくで「ベタ基礎」と呼ばれる基礎にします。分かりやすく説明すると、家の下全体を鉄筋コンクリートのように仕上げることです。そうすれば一部分が軟弱であっても一体化された全体の基礎が弱い部分を補ってくれます。地震に対しても非常に強くなります。
また、家を建てる土地にデコボコがあったり大きな段差があったりする場合は、造成工事をすると何百万もかかる場合があります。さらに土地をいじることにより地盤を軟弱にしてしまうこともあります。ですので、その土地の高低をそのまま使ったプラン(スキップフロア)や高基礎にした方がコストが百から百五十万ぐらいですむことがあります。
さらに、住宅建築費において大きな部分を占めるのが設備です。特にバスルーム、キッチン、トイレなどがあり、商品によって価格・機能もさまざまです。機能を良くすれば高くなるし、なにも機能を付けなければコスト的には安くなります。最初の見積もりでは、機能がノーマルタイプで施工時にさまざまな機能を付け、「別途料金」という形で請求する業者もいます。
以上のように、家の値段はこうした個々の積み重ねによって算出されるので、最初から、「坪単価いくら」という値段は出ないはずです。すべて出来上がって、最終的に算出されるものです。出来上がったもの総合的に見て、高い・安いかは考えるべきだと思います。
よく他社の見積もりを一目見て、その場で見積もりもせず「うちなら坪○○万でできますよ」などという業者がいます。個々の算出や仕様の検討もせずにそんな事は言えないと思います。安いからといって安いなりに造られたのではたまったものではありません。間違っても最初から「坪単価いくら」という契約はしないで下さい。
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| 4.設計と監理について |
設計と監理について簡単に説明します。設計には基本設計と実施設計という2つの設計があります。基本設計は建物のデザインを決める設計です。つまりお客様のニーズに合わせた間取りや外観を決定するための設計です。お客様のさまざまなニーズやライフスタイルをコンサルティングによって図面化し、一つの形に仕上げます。そしてその基本設計を元に、その地域のお役所へ確認申請を提出します。確認申請は本来、建築主がすることになっていますが非常に専門的知識がない限り厳しいので建築士が代理として行います。
実施設計とは決定したデザインを施工できるように納まりや構造を決め、施行者に伝えるための図面を作成します。建物の細かい収まりや詳細な部分もここで決定し、外装や内装の素材・正確な形・設備関係の収まり等を細かく設定します。また、これにより耐震性や耐久性などが供えられるようになります。
次に、監理とは設計した建物が正確に図面通りになっているかどうかを監督する業務です。工事管理と設計監理は意味が違います。工事管理は施工者の現場監督の業務であり、設計監理は設計者側からの監督です。設計監理は建築士のみが行える業務です。
確認申請では監理建築士を置くことが求められています。
そして建築士法第28条3項には、
「建築士は、工事監理を行う場合において、工事が設計図書の通りに実施されていないと認めるときは、直ちに、工事施工者に注意を与え、工事施工者がこれに従わないときは、その旨を建築主に報告しなければならない。」と書いてあり、設計監理をするものと工事施工者は別々である方がが望ましいのです。なぜならば、施工時に工事の欠陥部分を建築主へすぐ報告する良心的施工業者でなければ手後れになってからわかるか、永遠にわからないかどちらかです。監理者がちゃんとチェックをすることによって欠陥部分を施工中に早期発見することが出来るのです。
監理という業務はあまりわかってもらえないことが多く、最近では、基本図面と確認申請だけを安く建築士に頼む場合もありますが、工事監理というのは一つの重要な業務だという認識が基本的に欠けているのが残念ながら現状です。
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| 5.住宅メーカーの家は安いのでしょうか?(家は買うor建てる) |
住宅メーカーの作る家は建築家が建てる家より安いと思っている方は多いかと思います。メーカーというものは工場で大量生産することによりコストを下げます。つまりはその部品がたくさん売れれば効果はあり、材料の単価自体は安くなります。
しかし、今の世の中でいったい年間何棟売れば生産効果が現れるのでしょうか。そのうえ家の値段の中には購入した家自体の価格だけではなく、大勢の営業マンや工場等の設備投資、宣伝費、モデルハウスの建築費などがふくまれているのです。そう考えると決して安い買い物が出来るとは思えません。
更に、住宅メーカーではモデルが数種類あるだけで、お客様の本当のニーズ・ライフスタイルにあった間取りや空間を選ぶことはできないと考えます。本当のニーズにあわせて作ってもらう(注文住宅など)となると結局は高くつくハメになります。
その点、設計事務所の場合には決まったモデルというものはありません。設計者のアイデアにより、どのようなニーズでも対応が可能です。すなわち、住宅メーカーがスタンダードで提供しているものが好きでしたら住宅メーカーの方が良いし、自分の個性を生かしたいなら設計事務所に依頼するべきだと思います。
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| 6.設計料が無料って言われたけど・・・ |
まれに「設計料はサービスで出来ます。」とか「10〜20万程度です。」などと勧誘する建築業者がいますが、本当にそれはサービスでしてくれるのでしょうか?
通常、住宅の場合設計料は建設省告示に基づき、総工費の10パーセントぐらいを頂くことになっています。ごく一般的木造住宅でしたら、200万〜300万円前後ぐらいを頂かないと設計は出来ません。この中には基本設計料、実施設計料、確認申請料、工事監理料、工事業者の選定、インテリア相談などが含まれています。つまり設計事務所の作業は設計だけでなく、総合的なコンサルタントをも含んでいるのです。
上記に記載しましたが、設計料は建設省告示に基づき設計料が算出がされます。これは工事費の何パーセントというような算出方法ではなく、設計の作業量に応じて報酬を決めるという方式です。建設省告示では設計・監理という行為がどれぐらいの作業量を必要とし、経費が必要かをある程度目安として算出する方法を示しています。住宅に限定すれば告示方式は250万円前後ぐらいになります。
「設計料がサービス」だという施行業者は上記の責任と仕事量を本当に提供しているのでしょうか?また、設計をする際には、必ず建築士が図面を描いているのでその人の給料はどこから出るのでしょうか?お分かりかと思いますが、当然工事費の中に紛れ込んでいるのです。
以上のように「設計料がサービス」だという施行業者の出した見積もりの中には、本当に必要な経費だけではなく、不明瞭なお金が紛れ込んでいるのです。一般の方が見積もりを見てはたしてわかるでしょうか?たぶん、無理かと思います。ちゃんと設計事務所を通して業者選定を行えば、そのようなことはまずあり得ません。(というかそんな業者は仕事が取れません。)
設計事務所に設計料を払って家を建てることは、総額ではそんなに高くつくことはなく、それでいて質の高い家を建てることが出来るのです。この文章を読んでも、あなたは「設計料無料」を選びますか・・・?
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